硬質ウレタンフォームの住宅断熱工法について
何を基準にして決めますか?
一般的には、使用分野により「住宅の(新・次世代)省エネルギー基準と指針」あるいは、「JIS A 9501 保温保冷工事施工標準」等に基づいて設定されます。
冷凍・冷蔵倉庫等における防熱厚みは、イニシャルコスト、ランニングコスト等の諸条件を考慮した経済厚さによる場合が多く、通常最低厚みは表面温度が露点以上になる厚さにします。
住宅や劇場、集会場、病院、ホテル等公共性の高い特殊建築物は建築基準法により内装制限が課せられます。従って、これらの施工を行う場合、不燃材料または、準不燃材料として認定された断熱材を使用するか、断熱材表面を法的に許可を得た不燃性材料で覆う等、内装制限(建築基準法:第35条の2、施工令第128条の3の2項から第129条まで)の基準に合格するように施工を行う必要があります。
現在のところ、不燃材料または、準不燃材料となる断熱材としては、不燃性面材と複合化されたポリイソシアヌレートフォーム認定品があります。また、断熱材表面を覆う材料としては、建設省告示第1400、1401号に記載された材料を使う必要があります。
内断熱、外断熱それぞれに特長があり、どちらが良いか断定できるものではありません。
その選択に当たっては、建築する建物の条件(使用形態や予算)を十分に考慮し、それに適した工法を選択してください。
<冷・暖房特性>
外断熱はコンクリートなどの構造体を内側に取り込み、構造体が蓄熱体となることに特徴づけられます。それにより、構造体が外気の温度変化に影響されないため、構造体の耐久性が向上されるといわれています。また、冷・暖房時においては、一時的に冷・暖房が切れても、冷め難い(暖まり難い)という特徴があります。
しかしながら、冷・暖房初期では構造体への加熱エネルギーが必要となり、暖まり難い(冷え難い)という事なります。
一方内断熱では、構造体の内側に断熱材があるため、冷・暖房初期のエネルギーが少なくてすみ、暖まり(冷え)易いといえます。
<外装材について>
RC造の場合、内断熱の場合はコンクリート等の上に直接タイル張りや塗装等により仕上げをします。
外断熱においては断熱材の外側に、さらに外装材を設ける必要があり、外断熱ではこの外装材の脱落に配慮が必要となります。また、その耐久性を考慮する必要があります。構造体であるコンクリートは外断熱により保護され長寿命化されますが、直接外気にさらされる外装材は短寿命の恐れがあり、そのメンテナンスに対する配慮が求められます。
日本における暖房形態は、コタツや囲炉裏に象徴されるように、局所暖房に依存してきました。その後、ストーブやファンヒーター、エアコンの普及により居室全体を暖房するようになってきましたが、家全体の全室を暖房する家庭はまだ少ない状況です。
外断熱の場合、全室・連続暖房の場合にその性能を強く発揮します。単身者世帯など局所・間欠暖房をする状況で外断熱をしますと、暖房初期の結露発生が心配され、また、構造体に暖房エネルギーを奪われてしまうため、エネルギー効率が悪化します。また、別荘などにおいても短期使用であり、同様に暖房初期の結露とエネルギー効率の悪化が心配されます。全室・連続暖房が普及していない状況においては、結露防止・省エネルギーの観点から内断熱のほうが好ましいと思われます。
また、施工性とコストにおいては、現状では外断熱より内断熱の方が圧倒的に優位にあります。
以上のような背景から、日本では欧米と異なり、内断熱が主流になっていると考えられます。
外断熱では熱橋部分が少なくなるため、内断熱より優位といえますが、内断熱にあっても、適切な断熱補強により熱橋部の結露に対応しています。
また、いくら外断熱であっても、室内の温湿度条件が設定した条件を上回ってしまえば、結露が発生してしまいます。また、暖房初期には結露が発生する場合があり、「外断熱は結露しない」と断言することはできません。
結露の心配はありませんか?
定常計算では条件により内部結露する結果になりますが、非定常計算では内部結露しない結果が発表されています。{ 建築技術2001年10月号"RC造内断熱は結露するのか(史上最大の「濡れ衣」)":東京大学坂本教授 }
実用上は日間・月間等の温湿度変動、コンクリートの吸湿性があり、内部結露の心配はないと判断されます。