硬質ウレタンフォームの特徴について
どのようなものですか?
硬質ウレタンフォームとはNCO(イソシアネート)基を2個以上有するポリイソシアネートとOH(ヒドロキシル)基を2個以上有するポリオールを、触媒(アミン化合物等)、発泡剤(水、フルオロカーボン等)、整泡剤(シリコーンオイル)などと一緒に混合して、泡化反応と樹脂化反応を同時に行わせて得られる、均一なプラスチック発泡体です。
見かけは、小さな泡の集合体で、この小さな硬い泡は、一つ一つが独立した気泡になっていて、この中に熱を伝えにくいガスが封じ込められています。このために、硬質ウレタンフォームは長期に亘って他に類を見ない優れた断熱性能を維持します。
優れた性質はどのような点ですか?
硬質ウレタンフォームはプラスチックフォームの中で最も優れた断熱性能を有しています。これは独立した微細な気泡の中に熱伝導率が極めて小さいガスを閉じ込めているからです。この為、硬質ウレタンフォームは他のプラスチックフォームや無機系断熱材に比べて、経済的な厚みで優れた断熱性が得られます。又硬質ウレタンフォームは施工現場での発泡が容易で、多くの材料と自己接着しますので複雑な構造物に対しても隙間の無い連続した断熱層を作ることができます。
どの位ですか?
一般的な硬質ウレタンフォームの使用可能温度は、−70℃〜100℃位ですが、原料の配合(イソシアヌレート等の導入や特殊ポリエステルの導入等)や補強材(グラスネット等)を使用すること及び施工方法により、−200℃〜+150℃位までの使用が可能となります。
言いますが、何にでも接着できるのですか?
硬質ウレタンフォームには、他の断熱材料にはない自己接着性という優れた特長があります。これは、接着剤を使わなくとも、金属・合板・コンクリート等の対象物表面に直接発泡することにより、対象物に強く接着した断熱層をつくることが出来るということです。 この性質を利用して、スプレーによる断熱工事や、セットされた各種面材の間に発泡するだけで、複合パネル、ラミネートボードの製造ができます。なお、対象物の表面にあらかじめプライマー塗布などをしておけば、さらに強力な接着が可能です。
次の表は硬質ウレタンフォームの自己接着力の一例です。
この数値は表面材との親和性をあらわすものです。
なお、ポリプロピレン、ポリエチレン、フッ素樹脂、シリコーン、ワックスなどとは一般の接着剤と同じように接着しません。
どのような注意が必要ですか?
硬質ウレタンフォームと金属を常時接触させておいても、硬質ウレタンフォーム自身には金属を腐蝕させる性質はありませんが、金属との接触面に水が浸入すると、腐蝕を起こす場合があります。従って、この様な状況が予測される場合には、あらかじめ金属表面の防蝕処理や硬質ウレタンフォーム表面に防湿処理を施すことが必要です。
なお、温度が高い程、腐食は促進されます。
又、どのような使用環境下で変化しやすいですか?
伝導率の経時変化を下図に示します。このデータは住宅用ウレタン断熱研究会(委員長:大澤元毅 国土交通省国土技術政策総合研究所住宅研究部長、事務局:(財)建材試験センター)の研究成果から抜粋したものです。
吹き付けた製品の状態のものをそのまま養生して測定時カットしたものは、経時変化が少ない結果です。実際の製品はこの状態ですから、この結果が実態の変化を示していると判断されます。
どのような影響がありますか?
硬質ウレタンフォームは独立気泡構造であり、水や水蒸気の浸入に対する抵抗は強いと言えます。
一般的な住宅・事務所ビル等の場合、通常の使用では水蒸気浸入による熱伝導率への影響は心配しなくてもよいと考えられます。 住宅用ウレタン断熱研究会の試験で極端な水蒸気圧力差を与え、強制的に10%程度含水させても熱伝導率の変化率は8%程度でした。
どのような影響がありますか?
硬質ウレタンフォームは耐薬品性に優れています。濃い酸及び一部の溶剤を除いては、ほとんど侵されることはありません。
侵蝕されることはありませんか?
虫の害をうけたという報告が一部なされたことがありますが、他のプラスチック同様、虫、ネズミの害に対しては心配のない材料です。カビなどの微生物分解に対しては強い抵抗性を持っていて、侵されることはありませんが、高温高湿環境下では、カビが発生することはあります。
硬質ウレタンフォームの耐久性は、使用条件によって大きく左右されるので一概に何年とは言えません。硬質ウレタンフォームに直接日光や雨が長時間当たると早く劣化しますが、断熱材としての通常の施工であればこのようなことはありませんので、長期間に亘って使用することが出来ます。住宅の断熱、冷凍冷蔵倉庫等に使用されている硬質ウレタンフォームは既に30年を超えてまだ使用されている例もあります。
難燃性硬質ウレタンフォームといわれるものは、その用途に応じた燃焼試験を行い、難燃性と判定されたフォームであることを意味しております。例えば、建築用断熱材としては準不燃材料、難燃材料の認定を受けた製品などがあり、難燃処理をしていない硬質ウレタンフォームと比べて火炎の伝播や発煙量を少なくする処理が施されております。
硬質ウレタンフォームの難燃性はJIS A 9511、9526、1321などで規定された試験によって評価されますが、これらの試験は一定の条件下での材料の燃焼性の比較を目的としたものであり、必ずしも実際の火災時の危険性を反映したものではありません。
従って、これらの試験に合格したもの、あるいは準不燃・難燃材料の認定をうけている材料であっても火気に接すると燃焼しますので、他の一般的なプラスチック材料と同様に取扱いにおいては火気に対する注意は怠らないようにして下さい。
使用制限を受けますか?
永年の社会問題となっておりました「シックハウス問題」に対処する改正建築基準法が平成14年7月12日公布、平成15年7月1日施行されました。これに基づき、国土交通省は告示第1113号〜1115号(平成14年12月26日告示、平成15年7月1日施行)でホルムアルデヒドを発散する建築材料を定めました。これらの材料は平成15年7月1日着工物件より、ホルムアルデヒドの放散速度に応じた使用制限を受けることになります。
硬質ウレタンフォームは、上記告示の「ホルムアルデヒド発散建築材料」に該当致しません。
従いまして、硬質ウレタンフォームは、「シックハウス問題」に関る使用面積の制限を受けない建築材料として使用することが出来ます。